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青く輝く月の下で ~Under the shining B.L.U.E. moon~

創作発表板をメインの拠点にコードギアス二次創作やらオリジナル駄文、日々の雑記などを書き散らしていますの
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【冬 の 終わりに】part1 

ゲットーの街角には未だ寒風が吹きすさぶ。
そこにあるのは打ち棄てられた屍と瓦礫の山。それだけだ。
ただそれだけが半年前に日本人──イレブンたちが手に入れたモノの総てだった。
ブラックリベリオンという祭の終わりに、遺された総てだったのだ。

皇歴2018年──春。
かつての首都の成れの果て、ゲットーに暖かい日差しは届いていない。
まして、そこから遥か北──、
北陸の地において、春はその姿を垣間見せてもいない……。


【冬 の 終わりに】コードギアス反逆のルルーシュ LOSTCOLORSより





「で、本部からの新しい情報にはなんとあったんです?」
口調こそ礼儀正しいものの、そのように問いかけるブランドン少尉はソファにふんぞり返っていた。差し出されたコーヒーを受け取る様はとても上官に対する態度とはかけ離れているものだった。
「たいした情報ではなかったと言えますし、これはたいへんな情報であったとも言えますな」
しかしメッケナム中尉は気にしない。もっとも、この場合、気にしないよう努力していると言った方が正しい。
部屋の中はポカポカとしている。士官用に割り当てられた部屋は兵士達のそれと違い、空調設備もホテル並みに整っているから外の寒さが嘘のようだ。とはいえいささか暖房をかけ過ぎではないか……とメッケナム中尉は背中に流れる汗の筋を感じて思った。
聞き返すブランドン少尉の「どっちなんです?」という言葉には呆れた──馬鹿にした色が混じっている。メッケナム中尉もさすがに少しムっとした。
しかし抑えるしかないのが彼の立場だ。ブランドン少尉は士官学校出のエリートだ。いくらもしないうちに自分の上役に出世するのは目に見えている、とメッケナム中尉は自分に言い聞かせ続けている。
二十歳を前に少尉に任官したこの男、この“少尉殿”は酷いミスでも犯しさえしなければ1年ほどの内に中尉に昇進することだろう。そしたら次は大尉殿。もう自分の上官様ということになるのだ。
だったら心証を悪くするような振る舞いは慎むべきだろうとメッケナム中尉は奥歯を噛みしめる。
自分が何年もかけて……それこそ血の滲む思いで上った階段を、目の前のこの男は汗をかくことなくエレベーターで昇っていくのだと思うとなんとも言い難い思いに目の前が真っ赤になる。
けれど、軍隊というものは所詮そういう場所であるのだし、この世界そのものがそういうところなのだからと彼は自分に言い聞かせた。
神様というものは、実に世界を不平等な代物に創り上げたものだとメッケナム中尉は慨嘆する。そう、まさに彼らの皇帝が口にするとおりに。
「どっちと言いますかな。現在我が中隊が追っている黒の騎士団残党を指揮する人物の名が判明したとのことですよ」
「数機のナイトメアを有するだけの残党を指揮する人物の名前? 確かにたいしたことのない情報に思えますね」
「ただ、その指揮官というのが」
「いうのが?」
「ゼロの直属で戦闘部隊を指揮した隊長とも、参謀として作戦立案の補佐を行ったとも言われている人物だったそうなのですよ」
へぇとブランドン少尉はうなった。
「あのゼロの直属の部下だったイレブンなのか」
コーヒーを舐めるように啜り、ブランドン少尉はもう一度「直属の部下か」と繰り返した。
反逆者ゼロ。
それは奇跡を起こすと称された帝国の怨敵。捕縛され、処刑されたとは言うものの、トウキョウ租界での決戦で巻き起こした甚大な被害には今でも眩暈を覚えるほどだ。そのゼロが近侍に置いたという人物。
「で、その名前は?」
「えぇ、その名前というのが──」
メッケナムは“彼”の名前を口にした。
その名前を、ライと言う。



自分の名前を口にし、耳にしたブリタニア軍士官二名が身震いをしていたことなど、当のライ本人が知る由ももない。
ブリタニア軍に“ペテン師”と呼ばれ、他方“悪魔の様な男”と称されるゼロ。彼ならば千里の遠くを見聞きすることも出来るのではないかなどと噂されていたものだが、そのゼロの近侍に従っていたからといって、ライまでもが人智を超越した力を持っているわけはないのだ。
もちろんゼロとてその噂で語られているような力を持っているわけではない。彼の“力”はまた別のものだからだ。
「へっくしょん」
「くしゃみ? 風邪でも引いたんじゃない?」
コックピットから身体を乗り出してティッシュを差し出すカレンにライは頭を振った。
「いや、体調はキチンと管理しているよ。誰かが噂でもしていたんじゃないかな」
受け取ったティッシュで鼻をかむライ。
「きっと女の子ね」
「なんでそう言い切れるんだい?」
「うぅん。知らないけど、きっとそうよ!」
そんなことを言われてもなぁとぼやきながらライは立て膝をついて降着姿勢を取っているナイトメア・紅蓮弐式の肩口から身を躍らせた。
膝をついているとはいえ、それでも3mはある高さから飛び降りて、しかしライは階段を数段飛び降りただけのように地面に降り立つのだ。
「よくあんな高さから飛び降りて大丈夫ね」
「カレンだったらもっと高い所から飛んでも大丈夫だと思うよ?」
ライは真顔だ。
「それって褒め言葉になってないと思う……」
「そうかな?」
ライには冗談を言ってるつもりはない。
もちろん皮肉を言ってるわけでもない。つまり、そういう男なのだ。
首に巻いていた手ぬぐいで額に浮かんだ汗を拭う。作業用のツナギも胸の中ほどは汗でびっしょりになっている。
それもしょうがない話だ。いくら整備が容易なマシンとはいえ、ナイトメアフレームの整備は一人二人でぱぱっとと行えるものではないのだから。
「それにしても……」
紅蓮を見上げるライに、コックピットのカレンも思わず無言になった。
「やっぱり、紅蓮はもう限界だよ」
「そんな……」
冬を越え、春になり、暦の上ではそろそろ初夏を迎えようかという頃の北陸の夜。
しかし、夜空に雪は凄惨な美しさを広げていて、風はいまだ刺すように冷たかった。

後に広く知られることになる【ブラックリベリオン】とは反政府組織《黒の騎士団》による反ブリタニアの一大反抗作戦の名称であった。
冬のトウキョウ租界を舞台としたこの“事件”あるいは“決戦”。
当初《黒の騎士団》が有利に戦局を進めていたものの、副指令扇要の負傷やエリア総督コーネリア・リ・ブリタニアの腹心ギルバート・ギルフォードの奮戦、何よりもゼロの戦線離脱という異常事態が重なり……、《黒の騎士団》は──日本人たちは敗北した。
乾坤一擲の作戦が失敗に終わった結果、《黒の騎士団》は瓦解し、イレブンたちの反ブリタニア運動は崩壊した。
《黒の騎士団》構成員の中で国外脱出を遂げた者は極少数に過ぎず、藤堂鏡志郎、扇要を始めとした主だった幹部は逮捕され、ゼロの行方はようとして知れない。
逮捕され、処刑されたという報道がある。
ゼロは神聖皇帝シャルル・ジ・ブリタニアの前に引き出され、処刑されたのだと。
だが、ライはそれを信じていなかった。
ゼロは生きている。
そして、再起の道は必ずやある。
信じている。
なぜなら、彼こそは“奇跡を起こす男”であり、自分は彼の──友だから、と。
そして今、彼らは北陸の山中にあった。


放棄された旧日本軍の基地。そこがライたち黒の騎士団残党の現在の隠れ家だ。
基地と言っても大した設備があるわけではない。あるのは兵舎と重機の格納庫。それに山岳輸送用のロープウェイがあるだけだ。
「元々軍の施設だったってわけじゃないんだ。確か山岳レスキュー隊の屯所みたいなもんだったと聞いている。そんなだからブリタニアも把握してなかったんだろうってとこだな」
それがこの場所を紹介した卜部の説明だ。
「少尉任官したあと、俺はしばらく石川の金沢駐屯地に勤務していたんだよ。それでここを知っていたのさ。藤堂さんと出会ったのはその後、東立川の技研本部に移ってからでな」
「技研? 技術研究本部ですか?」
似合わないか? と卜部はライに笑ってみせたものだ。
「まぁ人は変わっていくものさ。良きにつけ、悪しきにつけ、な。ライ、君はどうなんだろうな」
ライの質問に卜部が答えることはなかった。卜部の問い掛けにライが答えることも。
自分のこれまでの変化について、そしてこれから如何に変わっていくのか。ライや卜部にとって、それは今現在深く思索するべき類のものではなかったからだ。
黒の騎士団の残党を率い、その勢力を守り、叶うならば増強し、そして決起の時を待つこと。その為に全知全能を尽くすことが今現在彼らが為すべきことであった。その総てが彼らに、そして首魁たるライの双肩にかかってしまっていた。
技研にいたと言うだけあって卜部のマシンに関する知識や技術は確かなものであったから、虎の子のナイトメアに関する限りライの負担は予想以上に軽いものになった。
ただ、それにも限界はあったのだ。



兵舎に戻ったライとカレンは他のメンバーとは別に設けた幹部用の部屋──屯所の会議室である──に卜部を訪ねた。
寒い。
兵たちの部屋と違って、ここにはストーブがない。唯一の暖房器具は固くゴワゴワとした膝掛けが数枚あるだけだ。
入ってきた二人を、卜部は軽く手を挙げて迎えた。
「おかえり。機体の様子はどうだ?」
「いかんともし難いですね」
まぁ、しょうがないかと卜部は手と手を合わせて擦る。
「ブラックリベリオンからもうじき6ヶ月だ。C整備も行えない状態で、よくここまでもったと言うべきなんだろうな」
「紅蓮の状態は最悪を通り越しています。電装系ももう交換せずにはどうにもなりません。でもそれ以上に酷いのは脚部アクチュエーターの金属疲労ですね。耐用限度はとっくに越えてますし、いつ擱座しても可笑しくない状態です。それに……左腕部に至っては肩口から半ばもげかかっています」
紅蓮の状態を話すライに、カレンはそれ以上に深く俯く。
慰めるかな……そんな卜部の予想に反してライは何も声をかけなかった。冷たいわけではなく、言葉を紡がない優しさを知っている瞳をしている。大人なんだ、と卜部もまた口を開かなかった。
擦り合わせていた手を離して腕を組む。ハァとついて出るため息は瞬間白くなって視界を覆った。
今日まで生き残ってこれたのは紅蓮の突破力とカレンの力に拠る部分が大きい。それだけに紅蓮の消耗は他のナイトメアよりも激しかったのだ。
なにより、ブラックリベリオンの決戦の際に紅蓮は右腕部──輻射波動機構を失っている。
輻射波動という決定打を欠いてしまった紅蓮はそれまで以上にその俊敏さを生かした戦闘を行うしかなかった、ゆえに限界は想定していたよりも早く来てしまったということだ。
「私がもっと上手く紅蓮を使えていたら……」
「そう自分を責めるな、紅月」
「だけど……」
「嘆いてみても始まらん。現状は何も変わりはせん」
そうだね、とライも頷いた。
「要は今をどう行動するか、だよ。どうするかを考えて如何に行動するかだ」
このような状況なら出来た人間でも多少は腐るものだがと卜部は思うのだけど、見た目ライは将校としての役割を完璧に務め切っている。上に立つ者として水準以上に仕事をこなしていた。
この残党の士気がぎりぎりのところで一つの組織としてまとまっているのが自分──元日本解放戦線の《四聖剣》卜部巧雪──の存在によるだけでなく、ライの手腕にもよると卜部は認めている。
もう一つ胸にしまっている思いが卜部にはあった。
だから俺もまだ《黒の騎士団残党》に付き合っているのだという思いだ。
卜部は「それで」とライに視線を向けた。
「わざわざ愚痴を言う為だけにここに来たわけじゃあるまい。ライには何か考えがあるんじゃないのか?」
「考えがあるって程の大仰なものではないんだけど……」
見てくださいと言ってライは卜部が座するデスクの上に手にしていた図面を広げた。
紅蓮弐式の図面だった。
「紅蓮の今の問題箇所なんですが──」
「フム……」
相槌を打ちながら、実際の所──と卜部は思う。
『このライという男。パイロットとしての腕は確かだし、大局を見る目もある。さすがにゼロが重用していただけのことはあるか……』
卜部が最初にライと顔を合わせたのは収監された藤堂鏡志朗奪還の為に黒の騎士団に助力を求めて合流した際だ。
その時に受領した新型ナイトメア《月下》の機種転換訓練に付き合ってもらった時以来なのだが……その頃受けた第一印象から大きく印象が変わったと言っていい。
そう、随分と人間らしくなった……と卜部は感じるのだ。
千葉が「何を考えているかわからない辺り、ゼロと同じだ」などと言っていたことを思い出す。
『確かにそうだと思うよ』
否、
「そうだった、だな」
「はい?」
たはは……と苦笑しながら卜部はなんでもないと手を振った。
「それより続けてくれ。ライの“解決策”をな」
そんなんじゃないですよ、と言いながらライは広げた図面を指し示す。卜部とカレンは身を乗り出すようにしてその様子を見つめる。
「まずは、これらのポイントを踏まえた上で──紅蓮を生き返らせます」


「以上です」
フム、と卜部は唸った。
「確かにここならある程度の工作機械はある。重機の整備用のな。元々ナイトメアは整備が容易な機械だし作業自体は問題なかろう」
「通常ナイトメアの本格的な分解再整備には72人時かかります。整備兵と工兵経験者にパイロットを合わせて12人……あるだけの人員をかりだして、なんとか作業時間6時間ってところでしょうか」
「追手のことを考えるとギリギリ……いや、それでも少し足りないと思えるな」
「ただ、これを間に合わせることが出来れば例の作戦が可能となります」
「この間ライが言っていた『柳の下の泥鰌作戦』ってやつかね?」
「そうです。この地形ならば問題なくやれますし、そうなれば追手への対応もかなり楽になります。ブリタニアの追手は確か専任の特務中隊であるとか」
手を顎にあて、再びフムと卜部は唸った。
ライはまっすぐに卜部を見つめている。カレンの視線はそんな二人の顔をいったりきたりしていた。
ライの提案した“解決策”は卜部も考え付かないではなかった案だ。それを言い出さなかったのはライに気兼ねをしていたからなのだが……。
しかし、ライはそれを自分から卜部に提案してきた。
「……フム」
逃避行を続けるこの黒の騎士団残党において、卜部は自分が最年長者であることを自覚していた。自分が残党勢力を糾合している中心人物であるということも承知している。
しかし、組織としての黒の騎士団での上位者はライであり、またカレンの方なのだ。
その上位者であるはずのライがわざわざ自分に意見を求めてきている。
『これが日本解放戦線での話しなら、事後の責任を押し付けるためにあえて意見を求めているというポーズを見せているのだ、なんて邪推をするところだな……』
机の上に広げられた図面に目を落とし、そして卜部はライの視線に目を向けた。
「ライ、時間に関しては極力短縮を図るとして……これでやれると思うかね?」
「やれます」
「単純戦力が低下することには?」
「総合的な戦力はむしろ増すことになります」
ならば、と卜部は膝掛けの毛布を脇に除けて立ち上がった。
「よし、やろう」
下手な考え休むに似たりというのが座右の銘だった。壁に引っ掛けられていた作業服を手に取り、卜部は二人を振り返る。
「いいかげん毛布に包まって丸くなっているのにも飽きていたところだ。菜っ葉服を着込んで暖まるとするか!」
ほっと胸を撫で下ろしたカレンの表情。
対称的なのは、卜部ならそう言ってくれると心の底から信じていたといった体のライの落ち着いた笑顔だ。
卜部はなるほど、と胸の内でつぶやいた。
『パイロットの腕、大局を読む眼、それらは確かにこの男の長所であるし、武器であることは間違いない』
しかし、と卜部は思うのだ。それは彼の本質の一端に過ぎないと。
『この男の本質はもっと、何か、違うものだ』
その何かが何であるのか、それはまだ卜部の胸の内に確固とした言葉となって表れていない。
ただ、卜部がこの青年のことを好きになり始めていることは確かだった。



 次回【冬 の 終わりに】part2につづく!

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Author:HANA子
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