青く輝く月の下で ~Under the shining B.L.U.E. moon~

創作発表板をメインの拠点にコードギアス二次創作やらオリジナル駄文、日々の雑記などを書き散らしていますの
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【桃太郎異聞 桜華剣奇譚】

「桃さんはどんなお花が好き?」
確か、あたしはそんなことを聞いていた……はずだ。自信はない。今となってはもう、何もかもが曖昧であやふやで確かなものじゃない。
彼は「そうだなぁ」と笑顔であたしの他愛ない質問に答えようとしていたんだと思う。
それはあまりにもあっけない最期だった。
その時、それまでただニコニコと笑っていた彼がやにわに立ち上がったんだ。
『どうしたの?』
かけようとした言葉が声となって口から出るより早く、あたしは彼に突き飛ばされていた。
犬クンの戸惑う声が聞こえた。
猿ちゃんのけたたましい叫び声が飛ぶ。
雉さんの悲鳴が響き渡った。
そしてあたしの顔に──

彼から真紅の飛沫が飛び散った。

後のことは、わからない。






「どうする?」
「どうする……とは?」
焚火を囲む人影は三つある。
否、それは正しく“人の影”ではない。
問いかけたのは山伏姿の猿。答えたのは武者姿の犬。そして今一人は法師の姿をした雉。
人ならぬ異形の者どもがそろって人の姿をし、焚火を囲んでいる。それは尋常ならざる光景であった。
「どうするとはだと? 質問に質問で返すんじゃない! このド低能のイヌっころが!!」
「すぐにキレるのは修行が足りない証拠であるな」
とたんに沸騰する猿行者に対し、若武者らしい犬はしごく冷淡に答える。
だが、続く雉法師の言葉はさらに冷淡だった。
「どうするもこうするもあるまい、さ」
ぱちり、とくべられた薪が炎の中で弾ける。
武者犬と猿行者の視線がそろって雉法師の方へ向いた。
「桃太郎は死んだ」
雉法師の言葉はあまりにも簡潔であった。
「てめェ……」
ゆらり焚火の向こう側に猿行者の影が揺らいだ。
森の深い闇の中では、ぱちぱちという薪の爆ぜる音が思いのほか響く。
バシン、と薪が大きく爆ぜた瞬間、猿行者が雉法師に掴みかかった。それは武者犬が止める間もない一瞬の出来事であった。
「も、もう一度言ってみろ! い、言ってみやがれ!!」
「……バカな野郎さね。重大な、重い使命を持つ身でありながら道半ばであっけなく死ンじまうなんて、さ」
コノヤロウ、と拳を振り上げる猿行者。これはイカンと止めに入る武者犬。
「それ以上言うんじゃねェ! き、今日という今日は許さねぇゾ、この野郎っ!」
「何度でも言ってやるッ!」
そして雉法師は叫んだのだ。何度でも言ってやると涙を散らして言ったのだ。
「桃太郎は死んだ! 鬼共を退治することもなく道半ばで死んだ! それが現実だ、受け入れねばならん現実なのだ!!」
激情はやがて深い闇の中に吸い込まれていった。
猿行者は拳を下ろし、武者犬は尻尾を下ろした。
激情から冷めた猿行者はそのときようやく気が付いた。雉法師の尾羽根は最初から力なく地面に垂れていたことに彼はその時初めて気がついた。
「……で、どうするよ」
しばし続いた重苦しい沈黙をやぶったのはまたしても猿行者だ。
応える者はいない。
彼らに名を与え、生きる意味を与え、使命を与えてくれた唯一の者は、もはやこの世のどこにもいなくなってしまったのだから。
血を吐くような痛みが胸を苛む時間が過ぎた後、彼らを襲ったのは激しい怒りであった。
誰が桃太郎を殺したのだ。何で桃太郎が殺されなければならなかったのだ。どうやって桃太郎を殺したというのだ。
桃太郎は少女をかばって致命傷を受け、奈落の底へと落ちていった。死体はあがっていない。
だが、もはや生きてはいるまい。
飛び散った血と、落ちていった崖の高さがそれを物語っていた。
それでも一縷の望みを持って地の底を探し回った彼らなのだ。
だが、望みは叶わなかった。
怒りが静まった後、次に待っていたのは──虚空に叩き落されたような、喪失感だった。
何をすることも出来ず、こうしてただここにいることしか出来ない。
何もかも終わってしまったのだという現実を、受け止めきれずにいるだけなのだ。
どれくらいの時間をそうしていたのだろう。
焚火の炎が微かに揺らぎ、彼らは本能的にソノ気配に視線を巡らせた。
ガシャリという具足が鳴る音はその気配から少し遅れて聞こえてきた。


朱塗りの武者装束。絢爛たる具足に緋縅(ひおどし)の鎧と陣羽織。
腰に挿したソレは鬼を裂き邪を撞く神器名剣。
背に翻る背負い物には『日本一』の文字が鮮やかに染め上げられている。
あたしは、それらを身に纏って彼らの前に進み出た。
三者三様に驚く彼らの姿にちょっと、決意が鈍る。
でも、と思って顔を上げて一歩前に進んだ。
彼が死んで、あたしが生きてる。
あの人は日本一の桃太郎で、あたしは身軽なだけが取り得のただの小娘。
そうよ、この世界に必要なのは彼であって、あたしなんかじゃない。
桃太郎は死なない。まだ死んじゃいけない。大勢の人を苦しめている鬼達を退治するその日まで──死なない。死なせるわけにはいかないんだ。
彼が死んだなんてことになったら、いつか平和がやってくるって信じているたくさんの人たちから希望の光が消えてしまう。
みんなが、たくさんの人がヒノモトの国が平和になることを願っている。桃太郎が、希望が、来るのを待っている。彼を死なせるわけにはいかないんだ。彼を待ってる人たちの為に。
だから────!
「あたしが……いや、“僕”が日本一の桃太郎だ!」



しばらく前に創発板の雑談スレで昔話の話題が出たことがありました。
何人かの方が“桃太郎風?”なお話を持ち寄っていたので、わたしも即興で書き殴って投下したんですね。それがコレです(若干加筆修正済み)。
死んでしまった英雄。生き残ってしまった自分。
贖罪の為なのか、主人公は自ら英雄の代役たらんとすることを自分に課す。
いやぁ、重いですね。暗いですね。なんとも切ないですね。
ま、でもHANA子的にアレなんです。
主人公はイジメられてこそ華!
重く、
苦しく、
悲惨な運命に翻弄され、
虚無と絶望の中、余りにもか細い一筋の光明に縋る……
あぁ、なんてステキ! 
そんな物語を思う存分に書いてみたいですっ!





後は文章を創る実力が伴ってくれればなぁ……。

創発いいトコ一度はおいで……ホントいっぱい人が来て欲しいとこです。
特に予告編スレとかァ(←一応自分が立てたスレなので、愛着はあるらしい)
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[ 2011/02/21 22:01 ] 創作発表板総合 | TB(0) | CM(0)
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ついでに言わせてもらえば、
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