───7,Jul,2018 新大陸・エドワーズ空軍基地
「いけそうですね、実用化」
「アハ。ま、そのつもりでやってるんだから当然だよねェ~」
ロイドさんはいつも通りの間延びした語尾で不機嫌を隠しているようだ。
そう、不機嫌なのだ。
「まだ拗ねているんですか?」
ハァとため息をついて、私は彼を振り返る。
ロイドさんは椅子の上ではなく、コンソールの上にどっかと腰を降ろし、あまつさえ膝を立てて座り込んでいた。
「お行儀、悪いですよ?」
「あ、また標的を一つ撃破したみたい。やるねェ~、スザクくん」
白々しいまでにわざとらしく、私の言葉を無視してみせたロイドさんに、私はもう一度ため息をついた。
もう、ずっとこの調子だ。正確には半年程前から・・・・・・ここ一月程は特に酷くて、ずっと拗ねた態度を改めないでいる。
困ったものね、と一人ごちる私。
だけど、本当に心から困っているのかと問われれば、特にそこまで困っているわけじゃないとも言える。そう答えると、スザクくんは困ったような顔をしながら苦笑したものだ。
うん、余計な事をしないで『ぶうたれて』いるだけなのだから酷く問題があるってわけじゃない。
ただ、スタッフの精神的健康の維持については多少支障があると言えなくもないというか・・・・・・。
日がな一日中上司が渋い顔をして拗ねているような職場で、スタッフ達が気持ちよく仕事をこなせるか・・・・・・という事に関しては、問題かもしれないと思う私なのだ。
「ねぇ、セシルくん」
なんですか? と応じる私。
「やっぱさ、アレよりボクのZ-01bの方がカッコイイって思わない?」
「クラブですか? でも、ヴィンセントだっていい機体だと思いますよ」
私がそう言うや否や、ロイドさんはぬぅっとそのしかめっ面を私の方へ向けた。
「いいやァ~、ボクのクラブの方が絶対にカッコイイし強いね。賭けたってかまわないよ! 大体ねェ・・・・・・」
また始まった。ロイドさんは呑んでもいないのに絡むイヤな癖がある。正直ねちっこくて困るのだ、これは。
ここは一発ビシっと行っておこうか? 私は大きく息を吸って、吐いた。
その時だ、ロイドさん話を遮るように鳴った電子音。それと共にモニターに映し出された文言を、オペレーターのカーライル兵長が読み上げたのは。
「オール・ターゲット、デストロイド。ミッションコンプリート。本日のテスト項目総ての終了を確認」
大きな声に話の初っ端を折られたロイドさんは、そのまま「うぐぅ」と押し黙ってくれた。
カーライルくん、グッジョブ。
彼には後で差し入れでもしてあげなきゃな、と私は胸の内で誓ったのだった。
CODE GEASS LOSTCOLORS [手をとりあって] インターミッション 【セシル】part1