QB大尉「さっそくでなんなんだけど、僕と契約して魔法少女になってくれそうな少女に知り合いはいないかい?」
HANA「はい?」
QB大尉「実は今月のノルマが厳しくってね。この際だから君に協力してもらいたいのさ。第二次性徴を迎えたくらいの魔法少女になってくれそうなぴっちぴちの少女に知り合いはいないかいっ?」
HANA「待て。色々な意味で待て。なんでよりにもよってわたしに協力を求める」
QB大尉「君には何度か射殺されてるからさ、正直困っているんだよね。大体スペアの身体だってただじゃないんだ。経費だってかかるものなんだよ?」
HANA「だから……なんだっていうんだよ」
QB大尉「だからさ。君が幼女を紹介して、僕が契約を取る。もちろん報酬は支払うよ。どうだい? これが実現できたら僕達の関係は理想的な共栄関係にクラスチェンジとなるじゃないか」
HANA「それを言うならクラスチェンジじゃなくてランクアップじゃなかろうか……いや待て。それがあんたの射殺とどう関係あるのさ」
QB大尉「なんだいわからないのかい? ようするに僕が君の雇い主になるってことさ。いくら君が考えなしで浅はかで、愚鈍、愚昧、愚劣な人間だったとしても、まさか雇い主を射殺なんて軽挙妄動は慎むことだろうしね」
HANA「……言いたいことはそれだけか?」
QB大尉「あれ? ……HANA子、その反応は理不尽だよ。ハァ……君たちはいつもそうだね。事実をありのままに伝えると決まって同じ反(ry」
わたしは無言で壁に立て掛けておいた頼りになる奴を手に取った。
頼りになる奴の名は
《89式自動小銃》。JGSDF──日本国陸上自衛隊正式主力自動小銃だ。
この銃は“スペシャル”を目指した銃じゃあない。特別な材質、特別な弾薬、特別な機能──それらを狙った銃じゃあないの。
斬新さはない。だけど、それだけに奇をてらわない安定感がある銃なのだ。
確かにこの《ハチキュウ》は高価だ。並みのアサルトライフルの5倍近い値段がかかる。武器輸出規制のある日本では容易にコストを下げることが出来ないネックがある。
だけど、日本人の体格に合わせた設計、カービン銃並の取り回しの良さ、へっぴり腰な射撃姿勢で撃っても当たる命中精度、64式自動小銃とは比べるべくもない驚くほどの低反動。この銃には日本人の物作りにかける情熱が込められているのだ。
人が兵器に求めるのは性能。なら兵器が人に求めるものはなに?
それは愛着だ。
道具にだって魂がある。愛情をかければ、その魂は応えてくれる。その秘められた力の総てを、この手に。
わたしはそっと肩口に軽く当てて射撃姿勢を取った。89式ならこんな姿勢でも有効射を手にすることが可能だ。わたしは右側に設置されている《ア・タ・レ・3》のセレクタレバーを“レ”に合わせた。
「レ~は連射のレ~、なのよ?」
そして────

QB大尉「きゅっぷい……」
HANA「愚劣、愚昧、愚鈍の、夏の虫のごとき愚人で失礼しましたわね。 まっ、そもそもわたしに幼女だの少女だのを紹介する当てなんてないからあんたの思うようにはいかないわよっだ!!」
わたしは優しく、子どもをあやす様に道理を説いた。彼は黙して語らない(語れないんだよjk)。
どうやら分かってくれたのね、とわたしは頷き、行動の結果に満足したのだった。
時に人は語るだけでは分かり合えない。激しくぶつかり合わなければそれが出来ない。そこには必ず痛みが伴う。だけどわたしはそれを躊躇しない。必要ならば全力でぶつかり合う(一方的に射殺されるのもぶつかり合うの範疇なのかい?)!
そう、それが、わたしの、焔の運命(さだめ)……。